メンタルパフォーマンス・ラボ

メンタルトレーニングの歴史(海外)


 海外における心理的サポートやメンタル面強化の研究動向を紐解くと、「海外では、1950年代から旧ソビエト社会主義国家の威信をかけ、オリンピックでメダルを獲得することを目的として、メンタル面強化が始まった」10)と報告している。1970年代には、旧ソビエト連邦や旧東ドイツのオリンピックにおけるメダル獲得数などの影響から、北米を中心とした西洋諸国でもメンタル面強化のトレーニングや心理的サポートに関する研究が始まった。同時に、メンタル面強化を目的とした世界的な動向が、国際スポーツ心理学会(ISSP: InternationalSociety of Sport Psychology)、国際応用スポーツ心理学会(AAASP: Association for TheAdvancement of Applied Sport Psychology)、国際メンタルトレーニング学会(ISMTE: InternationalSociety for The Mental Training and Excellence)の3つを中心に展開するようになっていった10)。現在、「メンタルトレーニング」を専門に取り扱う学会は、ISMTE、AAASP、および国際スポーツ心理応用学会(ICPAS: International Congress on Psychology Applied to Sport)の3つがある7)。海外でのメンタルトレーニングの定義としては、1982年にISMTEの設立者で初代会長でもあったUnestahlは「メンタルトレーニングという言葉は、個人の外的・内的・メンタル・身体行動や経験などをコントロールしたり、変化させることを目的とした心理学的テクニックに対して使われる。このメンタルスキル・行動・態度・ストラテジーの系統的なトレーニングは、精神力が身体的な強さと同じようにトレーニングできるという考えを基本としている。」と定義している。またISMTEでは、メンタルトレーニングの国際的な指導者を育成するために、国際教育システム(国際ライセンス制度)を確立した。その中でメンタルトレーニングとは、「メンタルトレーニングとは、身体的な部分にかかわらない全てのトレーニングであり、ピークパフォーマンスとウェルネスを導くための準備である。スポーツのパフォーマンスや人生を向上させるための、ポジティブな態度、考え、集中力、メンタル、感情などを育成・教育することが中心である。」と定義している11)

石井聡・高妻容一(2006)講習会形式メンタルトレーニングプログラムの効果について(その2).東海大学スポーツ医 科学雑誌.第18号:69-78.より
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